夏3

十日ぶりに家に帰ったら、玄関で小さなトマトが六つほど、白と深緑の黴を被って出迎えた。資源ごみは月曜日。もう何週も、月曜日のこない一週間を繰り返しており、部屋の中には空のペットボトルが溢れるほど。
私の身体はどれくらいの液体でできているのかしら、どれくらいの空気でできているのかしら、満たされているのかしら。ペットボトルの飲み物を買うと、何故か毎回ほんの僅かに液体を残してしまうのだ。
この部屋から出てゆくごみの量、私の身体から出てゆく二酸化炭素。有害である自覚とともに過ごす日々。

被害者意識と犠牲者意識の違いについて考えながら、トマトを捨てた。意志あるトマトが復讐にくる夢にうなされるのではないかしらという愉快な空想をする。

近所の公園の大きな花壇では、暑さにやられ枯れかけた花の腐ったのが、微かに饐えた匂いを放っている。