与える
不在の天使 逆光の午睡 光を透かす髪をさらに彩れ
与えるだけの存在になれるほどの孤独を知りたい。失うことに慣れきっていれば、何を与えたって平気でいられるのだろう。こころが寂しくて埋まらないことについて。厚かましく奪う作法を学ぶよりも、失うことに慣れた方がよほどいいと、気高くあろうと、虚勢を張っている。
マザーテレサの亡霊たち
与え損ねた人間が、からだの奥から溢れる善意で、内側から内臓を圧迫されて死んでいくのを何度も見た。与えるにも相手が必要なのである。気高く構え、「人を選び、選ばれた者には与えて差し上げる」という傲慢な娯楽をしたいのであれば、それなりの人格を育んでいかなくてはならない。
まるくてやわらかいものを上手に持てる人
本当は、丸くて柔らかいものを上手に撫でられる指、触れられる腕、壊さないように与えられる力加減を、身をもって知りたい。