2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

選択

メメントするまでもないだろ、どうせ死ぬのに。 * 野次馬に、自分の死体の写真を撮られたくないという、それくらいしかない。還りたい帰りたいもう一度孵りたいと徘徊して私が行きつく先はどこになるのだろうと考える。どこかとても静かな水面に、音もなく…

褻の幸せ

「生きていさえすれば」、誰にでも平等で、無条件に与えられる、至極細やかな幸せが好きだ。誕生日や、道端の花や、季節など。なぜならそれらは、優しいから。非日常の幸せに慣れ、幸せの閾値が上がってゆくことに苦痛を覚えて、自らを貶める。本当に馬鹿な…

2017年7月7日

7月7日 アスファルトに乾いたもぐらの死体を転がすと腹には体液で黒くつやつやとした穴が開いており蛆がわいている 私はその穴に吸い殻を何本も何本も、まるで線香のように、かわいそうにと青空の下、蛆の焦げる匂いと照り返しの小便臭さを嗅ぎながら 日除け…

ゆるやかな解凍

冷凍庫から豚肉を出して、その辺に置いておいて、キッチンの床に丸くなり、友達に会いたくないなあと考えていたら、昼下がりの生ぬるい気温に、肉が、どろどろに溶けていた。親指と人差し指でつまむと、指先に、ぶよぶよしたお肉の、生臭い汁が、ついた。肉…

悪意

嫌いな人がいなくて、とっても寂しい。小学生の時、とても嫌いだった女の子が、ベタを大切に飼っていた。私はその子の家へ呼ばれる度、そのベタを便所に流す空想ばかり、何度も何度も繰り返していた。その空想は、とても気持ちのよいものだった。遂にベタを…